柔軟な戦い方ができない日本サッカー!?

「やらなくてはいけない事をやって!」「何も考えずに自分がやりたい事をやらないで!」
これらは先週末にあったU10の練習試合で選手達に何度も伝えた言葉です。

この時の試合は強豪チームが相手で、私達が標榜している[ボールを繋ぎながらゲームを支配するサッカー]が簡単には実行できない状態でした。
そこで同じ事をやり続けて少しでもできるようになるのを待つ、という選択肢もあると思いますが私はそれを選ばず、戦い方を変える事を決めて選手達にそれを求めました。
それは「選手達が新しいサッカー(戦い方)を学ぶいい機会だし、目の前の試合で劣勢な状態にあるチーム(選手)を好転させるにはやり方を変えるべきだ」と思ったからです。

>なぜ日本サッカーは状況に対して柔軟に変化を起こせないという話になるのか
話はそれてしまうのですが、私が4年ほど前にスペイン留学からの一時帰国中にある場所で講習会を行い、そこでカタルーニャ(スペイン)の強豪クラブではU11でも試合中に戦術変更をするという事を実際の試合映像を用いて説明しました。
すると参加者の中にいたJクラブの育成年代で指導をされている方から「これは監督の指示で変更したのですか?」と質問を受けました。私はその監督に聞いた訳ではなので推測ですがと前置きした上で「おそらく監督の指示だと思います」と伝えました。するとその方は「こんなにスムーズに適応できるものなんですね」と仰っていました。
それ以前から日本では国際大会などに代表チームが参加すると決まり文句のように「日本は相手に応じて柔軟にサッカーを変えられない」「強豪国は劣勢になるとやり方を変えてくる」とよく目にしました。
それは育成年代から試合中に変化を起こすことが当たり前にあり、所属しているクラブや担当する監督によってやり方もどんどん変わる中で育ってきているので適応する事が普通になっていたり、適応できる選手だけが上のレベルでプレーできるという環境もあるのだと思います。

>>状況に合わせて柔軟に対応できる選手を育てるためにジュニア年代からできる事
話を戻すと、もしU10の時代の事だけを考えれば目の前の試合の結果を度外視し、選手達がうまくいかずに苦しんでいる状況を気にせずに同じ事をやり続ければ、そのやり方の精度は上がるのかもしれません。しかし、これからサッカーがますます国際化し、海外でプレーする事が当たり前になった時・移籍が活発になってスペインのように毎シーズン移籍する環境になった時・今以上に指導者を評価するシステムができて毎シーズン監督が引き抜かれたりして変わった時・中学年代や高校年代で新しい環境に変わった時などにこれまでと異なるサッカーに適応する適応力が求められると思うのです。
ジュニア年代に必要なサッカーの原理原則を抑えながら必要な変化を求めていく、それがこれからの選手のサッカー人生にとって大切な事だと考えています。

もちろんU10の選手達がすぐさま言われた事に適応できるとは思っていません。少しずつ変化に対応できるようになればいいのです。しかし私達がそれを求めなければ彼らが自分たちだけでそれに対応するのは不可能でしょう。実際に練習試合の中でも私に厳しく言われながら徐々に選手達は適応できるようになっていました。
おそらく次に同じような要求を試合中に求めたら今回よりもスムーズに適応できると思います。そうやっめ少しずつ知らなかった事を知り、適応のスピードを上げ、その精度を高めていくのです。

それこそが柔軟にサッカーを変えられる(それに適応できる)サッカー選手の基礎となっていくと思います。将来の為に今の目の前の試合を犠牲にするのではなく、将来はどうでもいいからとにかく目の前の結果だけにこだわるのでもなく、目の前の試合も選手の将来も見据えて指導をしていきたいと思っています!

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC