クラブでは様々な情報を発信して行こうとしていますが、実験として普段の練習メニューを公開したいと思います。
もしかしたら『練習メニューは秘密だ』という指導者の方々もいらっしゃるとは思いますが、レアッシとしては公開しても全然問題ない、と考えているので少しの期間、実験的に公開したいと思います。
専門的な部分でもありますが、普段どんなテーマで何をやってるのか? 興味のある方はご覧ください。
最初は現在僕が担当しているU-13(中学1年生)の本日の練習の流れと詳細です。
毎回の練習をデータ化して残し、フィードバックできるようにしています。
本日の練習は4月にU-13がスタートしてからセッション17(17回目の練習)です。
今日の僕のグループは17名。怪我明けの選手も含んでいますのでオーガナイズを少し変えています。
①ウォーミングアップ (10min)
動的ストレッチと、現在フィジカルコーチより個別に与えられているメニューのチェック。各トレーニングのフォームのや起こりやすいミスを指摘。
身体も心もある程度準備が整い次のメニューへ。
②コントロール&パス(7min)
まだ身体が完全にできていないので、簡単なコントロールの練習。パスを出したらそのままプレッシャーをかけて、ボールホルダーは的を交わしてパス、それの繰り返し。
ここで大事なのがConsiguna。日本で言うキーファクターですがここが重要だと思います。
ボールを受けた選手はプレスの距離を見てどこにコントロールするかを判断します。
パスを受ける際にプレスがかかっていない状態なら足元にボールを納め、プレスをかける敵を見てドリブルで外す。
これは後で繋がりますがコントロールする際にプレスを受けたら足元に止めずにコントロールで外す(ボールを動かす)というものです。
簡単な練習です。
③1対1(10min)
同じ流れで今度は守備の選手のトレーニングです。攻撃側はRegate(ドリブル突破)し、それに対する守備の対応の練習です。
ドリブルで仕掛けるチームも多いので、それに対する守備の仕方。いつ奪いに行っていつは着いて行くのか?
ここまでは最近ルーティンで行なっている練習です。
(1回のトレーニングで劇的に上手くなることはないですからある程度ルーティンすることも大事かと思います。)
④4対3+1⇄4対3+1のポゼッション
ゾーンAは4対3。攻撃側はゾーンBへの前進を目指し、進んだらそのままスライドして逆方向への前進を目指す。
少し専門的になりますが、何をやっているかを述べたいと思います。
■Objetivo(目的):Progresión(前進)
■Contenido(内容):APoyo(サポート)
■Consiguna(キーファクター):…..
この練習の目的はサッカーの4つのフェーズの「攻撃」のサブフェーズになる「前進」です。
練習自体はどこにでもあるものですが、重要なのはキーファクターだと思います。
例えば中央の選手がボール持った時にサイドの選手はどこにポジションを取り何を狙うか…
ボールホルダーがプレスを受けている時とそうでない時、どこにポジションをとってサポートするか…
ボールホルダーがドリブルで前進した時に何が起こるか、そしてサポートする選手はどのようにポジションをうごかすか…
中央の(図の真ん中)の選手は何をしないといけないか…….
遠いサイドの選手はいつ何をしないといけないか……..
ということを『サッカーの原理原則』=「普遍的なもの」として教えています。この原理原則を知らないと『選手はサッカーを学ぶこと』ができません。それはイコール『戦術を知らない』ということにつながり=『ヨーロッパで通用しない』という縮図につながっていると僕は思います。
話しはそれましたが。
⑤7対7+3フリーマンのポゼッション(25min)
次の練習は7対7+3フリーマンです。
■Objetivo(目的):Progresión(前進)
■Contenido(内容):APoyo(サポート)、Crear espacio y Aprovechar(スペースを作る動きと使う動き)
■Consiguna(キーファクター):…..
今度は同じ「前進」が目的ですが、負荷が上がり、出てくる現象が増えます。
よくある現象としてサポートした選手がマークにつかれても同じスペースに留まってしまうこと。パスを狙われやすくなります。
しかし、動いてスペースを作れと言うと「それが目的になってしまう」ことがあるので、それを選手がイメージしやすくなおかつ「原理原則」に基づいて教える部分が「キーファクター」になります。
例としては、
「サポートしてパスコースを作ること。もしマークをされたら違う動き、もしくは違うスペースへ移動してパスコースを作る。」
それが結果的にスペースを作る動きになります。どうしても「スペースを作れ」と言うと選手にとってはそれが『目的化』してしまい、スペースを作ればOKという意味のない動きになってしまいます。そうすると選手が「サッカーの原理原則」を理解せずに「形で覚えてしまう」ので気を使うところです。
また、選手が同じスペースを狙ってしまう場合がありますが、先に動き出す選手の優先順位や、どこにいる選手が何を見て動き出さなくてはならないか、などがこのトレーニングのConsiguna(キーファクター)になります。
上記のキーファクターの部分が、日本とスペインとの大きな違いの1つかもしれません。
この練習でもキーファクターに「サポートの質」とすれば選手は理解しにくいので原理原則を教えると同時にわかりやすい(ジャッジしやすい)ものであることが重要かと思います。
この図で言うと、中央でパスを受けている選手(矢印)のサポートのキーファクターは「フリーならその場にとどまり、マークされたら別の場所でサポートする」こと、それが自然とスペースを作る動きにつながります。
その後方にいる選手のサポートのキーファクターは「直接ボールに関われない時は次の展開を予測して準備をすること」「ボールホルダーに近い選手がそのスペースから移動した時は空いたスペースを活用すること」などがあげられると思います。その結果スペースを使う動きにつながります。どちらの選手も「サポート」という意味では同じですが「キーファクター」が異なります。
それを同じように扱ってキーファクターを「サポートの質」とすれば選手はサッカーの構造、原理原則を理解できないままかもしれれません。
また話はそれましたが、その後同じ練習メニューで『Transicion D-A 守から攻への切り替え』をテーマにし7分トレーニング。これは次のテーマに繋げるための意識づけです。
簡単に今日の練習をピッックアップしました。