練習メニュー公開の第4段です。
1回目は僕が担当しているU-13、2回目は黒沼コーチのジュニアユース・セカンド、3回目は後藤コーチのジュニアユース・トップチームでした。
4回目は現在僕が担当しているU-10(小学4年生)の最近の練習メニューを詳しく紹介します。
(主にU-10のファーストチームでプレーしている選手です)
今回は1日の流れでなく、一つの練習をピックアップしてみました。
サッカークラブならよく見る光景の「Rondo」。日本では「ボール回し」などと呼ばれます。
ひどい時には「バカ回し」と表現する指導者や選手がいますが、同じ練習でも「コンセプト」によっては意味のあるもの、無意味なものになってしまいます。
僕の中では非常に重要なトレーニング形態で、人数や制限によってはかなりの発展ができます。また、「戦術的なコンセプトを理解する」のにも役立つかと思います。
4対2ロンド(長方形)
一番上の図にあるように、グリッドは長方形で外に4人の攻撃選手が配置されます。守備役が2人で攻撃側はボールを奪われないように、長手方向の前進を目指します。
図で言うとAの選手からDヘボールを前進させることが目的で、Dまで行ったら反対にAへの前進を目指します。守備がボールを奪ったらミスをした選手と攻守交代です。
基本的にこの練習では攻撃4人がすでにパスコースになりやすい位置に配置されているので、普通にやれば戦術的な「サポート」の練習ではなく、「パス&コントロール」と言ったテクニックの練習になってしまう可能性があります。
どうしても「テクニック」の部分を見てしまう 〜実はミスしている〜
この図の場合、Cの選手がパスを受ける時、敵の赤の選手にプレスを受けてしまいます。そうすると敵をドリブルでかわしてDヘパスすることになります。「テクニックだけ」を見ると「上手くかわした、ナイス!」となるかもしれませんが、僕のこの練習では「Cの選手のミス」です。結果的にDへボールが渡ってもCの選手はポジションのミスをしています。
反対にBの選手もミスをしています。それを『感覚的』ではなく、『明確な理屈』を持って選手に伝えて行きます。と言っても、まだ小学4年生になったばかりですから『わかりやすく』伝えることが重要です。
ではCの選手、Bの選手が取るべきポジショニングはどこでしょうか。どうやったら「選手の成功・失敗を明確にジャッジ」できるでしょうか。
ボールホルダーのプレスのかかり具合によって『サポートする高さ』を変える
ここでの『キーファクター』は単なる「サポート」ではなく、
『ボールホルダーがプレスを受けていたら相手のラインよりポジションを下げ、プレスがかかっていなかったら相手のラインを超える所にポジションを取る』です。
Cの選手側から見てボールホルダーにはプレスがかかっていません。ですので敵のラインを超えるポジションを取ることによりパスを受けてもプレッシャーを受けることなくDヘパス、つまり「前進」できます。このようにポジションをとれば「テクニックで勝負」することなく目的(ここでは前進)を達成できます。
反対にBの選手から見るとボールホルダーがプレスを受けかかっており、高いポジションを取ることができません。先のキーファクターでいうと「プレスがかかっていたらポジションを下げる」です。
相手のラインよりポジションを下げ、前進ではなく保持するためにパスコースを確保します。
選手のミスに対して、「そうじゃない!」「今のは逆だろ!」とい曖昧なジャッジではなく、わかりすい「明確なジャッジ」をすることで選手のサッカーへの理解を促すことができると思います。
重要なのはポジションをとって何をするか
更に細かく言いますと、「適切なポジションを取った後に何をするか」という部分も重要です。
前述のポジショニングが「目的化」してしまうとそこにポジションを取ることでOKとなってしまいます。
「目的はあくまでも『前進』」ですので、そこにポジションを取った後のプレーについても選手に要求しなければなりません。
例えばBの選手。ポジションを下げた後に、敵が食いついてきたらギャップが開き縦へのパスが入りやすくなること、あまり食いついてこないようなら「コントロールオリエンタード」で「相手を超える」ことができます。もしくは「ワンタッチ」で超えることもできます。
Aの場合はポジショニングとパスだけで超えることができます。
ここでは「ドリブルで相手を抜いて前進する」のではなく、「状況判断」を駆使して「前進する」ことがトレーニングできます。
重要なのは練習メニューではなく…
極端にいうと「重要なのはメニューではない」とも言えるかもしれません。同じ練習でも「指導者のフォーカスの仕方」によっては別のメニューにもなります。もしくは制限や人数を変えるだけで、全く別のコンセプトにもなります。
今回は現在U-10(小学4年生)で取り組んでいる練習の一部で、「前進のためのサポート」というものを紹介しました。