日本サッカーにおいて”新しい”レアッシの選手評価基準!その根拠をデータで見せます!!

これまで日本サッカー界では選手の選考に際して『早生まれ』についての問題が長く議論されてきました。それに関連するものとして日本の各地域から選ばれたジュニア年代の選手が一堂に集まるJFAフットボールフューチャープログラム(略称:FFP)の2016年度版に参加した6年生の誕生月をまとめたデータをこちらで見つけました(FFPについての詳しい情報はこちらから)。このデータを基に、早生まれに関する問題とはどういったものか、なぜそれが発生するのかを分析していきたいと思います。

1.日本サッカー界の現状
FFP2016に参加した6年生の誕生月についてまとめたグラフを見ると
4月生まれ/150名前後  5月生まれ/130名前後 6月生まれ/90名前後 7月生まれ/90名前後 8月生まれ/80名前後 9月生まれ/45名前後 10月生まれ/50名前後 11月生まれ/40名弱 12月生まれ/30名前後 1月生まれ/20名弱 2月生まれ/15名前後 3月生まれ/20名前後 となっています。
これを3か月ごとにまとめて割合で表示すると…4-6月(370/760=49%)、7-9月(215/760=28%)、10-12月(120/760=16%)、1-3月(55/760=7%)となります。
以上のデータから日本サッカー界では誕生月が後半になればなるほどジュニア年代で高く評価される選手の割合は低くなり、早生まれの選手になるとその割合がさらに低くなっているのがお分かりになると思います。何と、ある都道府県では10月以降の誕生月の選手がFFPには1人も選ばれていないというところもあったそうです。

2.レアッシではどういう選考を行っているのか
今回は2017年4月からレアッシのジュニアユースへ進む29名の選手の誕生月について検証していきます。このデータから私たちがどういった選手を選んでいるかがすぐにご理解いただけるかと思います。
4月生まれ/1名 5月生まれ/1名 6月生まれ/2名 7月生まれ/5名 8月生まれ/5名 9月生まれ/3名 10月生まれ/3名 11月生まれ/4名 12月生まれ/1名 1月生まれ/1名 2月生まれ/0名 3月生まれ/3名
3か月ごとの割合は…4-6月(4/29=14%)、7-9月(13/29=45%)、10-12月(8/29=28%)、1-3月(4/29=14%)となっています。
このデータを見るとFFPのデータと比べて明らかに7月以降に生まれた選手の割合が多いのです。

3.早生まれの選手はなぜ選考から漏れるのか
考えられるのは4月生まれの選手と3月生まれの選手であれば1年近い差があり、そこから生じるフィジカル(体格)の差が大きな影響を及ぼしているという事です。つまり、選手を評価する際にフィジカルの占める割合が非常に高いといえるのではないでしょうか。もちろんレアッシでもフィジカルは選手を評価するうえで大切にしている部分です。しかしそれ以外にもテクニックやメンタル、そして戦術理解といった賢さ(頭の中)もかなりの割合を占めています。その評価基準のバランスがこういった選考結果に表れているのだと思います。

4.なぜレアッシでは今の日本サッカーの流れと異なる基準での選考を行うのか
もしジュニアやジュニアユース年代での勝利のみを追求するのであれば、フィジカルに優れた選手ばかりを集めるのが一番の近道なのかもしれません。しかし最初に示した記事の中にもありますが、2013年FIFAコンフェデレーションズカップに参加していた日本代表メンバーの中には早生まれの選手が多かったそうです。もし将来フィジカル差がなくなった時にそれまで評価されてこなかった選手達にいい指導を受けさせていなければ日本サッカーの質は上がらないのではないでしょうか。そしてそれではフィジカルで劣るアフリカ勢に日本はこの先もずっと勝てないのではないでしょうか。そういったこれまでの力関係を打ち破るためには、今までとは異なる基準の選手選考や選手育成を行っていくべきだと考え、新しい基準での選手選考や評価を行っています。
現在、名古屋グランパスで監督を務める風間八宏氏は著書の中で「サッカーは、いつ走るのか・どの方向へ走るのか・どこから走るのかという部分で自由が与えられているので足が速いかどうかは効果的な走りができれば補える」というような趣旨の事を書いてらっしゃいました(うろ覚えなので言葉はだいぶ異なるかもしませんが、発言の主旨は合っているはずです)。ではそのサッカーにおける効果的な走り方を理解するのに必要なのは何か?それがサッカーを正しく理解し、それをプレーとして実行しようとする能力=【サッカーを理解する賢さ】なのです。だからこそ我々はトレーニングでもゲームでも選手の頭の中に刺激を与えるような指導を行い、理解力を高める工夫をしたり、選手を評価する際にもその部分を見極めるように意識しているのです。
「うちの子どもは足が遅いから…」「僕は背が低いから…」「僕なんかトレセンに選ばれていない選手だし…」と、お考えの保護者の皆様や選手のみんな、一度新しい評価基準の中でプレーしてみるのもいいかもしれません。

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC