オフシーズンがない日本としっかり休むヨーロッパ

レアッシ福岡FCの今年の通常練習は12/21金に終了しました。ジュニアユースは22土の紅白戦で終了、U-11・1stは大会が入っていたので12/24月まで試合でしたが、ほとんどのカテゴリーがクリスマス前に冬休みに入っています。
ジュニアユースは1/5土のTRM、ジュニア(小学生)の通常練習は1/7月からスタート予定です。

全体的に言うと基本的には12/21に終了し、1/7からスタートです。
土日の試合などでカテゴリーによって違いはありますが、約2週間ちょっとの休みです。

オフシーズンがあるヨーロッパ

僕らが留学していたスペイン・バルセロナ。
年齢やクラブのレベルによって違いはありますが、年間のスケジュールはざっと以下の感じです。
(※半月から1ヶ月ほど異なります)

■8/中旬〜9/中旬:プレシーズン
この時期は移籍や監督交代などから新チームのスタートです。
練習試合やカップ戦(非公式)でチームのベースを作ります。

■9/中旬〜10月:シーズンスタート
(学校の新学期、日本は4月ですが、スペインは9月からです)
ここから毎週末にリーグ戦が土日のどちらかに1試合だけ入ります。

■6月頃:シーズン終了
シーズン途中、クリスマス休暇、セマナサンタ(春休み)といった短い休みがあります。

年間のリーグ戦が終了するとシーズンは終わりです。
そこから8,9月頃のプレシーズンまではバカンス(休み)です。

バカンス中に「他のチームが休んでるからその間に猛練習」といった発想はありません。

オフシーズンがない日本

(先に言及しますが、日本人が「働き者」であることは日本の文化ですし、「練習が好き」「努力できる」などは日本人のストロングポイントです。
短絡的に「日本はダメで」「ヨーロッパ文化が最高!」と言っているのではありません。
「あくまでも選手の成長を考えた」時に「休むことの重要性」を言いたいがために比較しています。)

日本の場合、プロ選手にはオフがあるのに育成年代の選手には長期の休みがありません。

以前書いた「小学生で週5回の練習はムダ。今だに抜けきれない根性論と練習量という神話。」は多くの人にシェアしてもらいましたが、「練習すること」と同じくらい「休むこと」も重要だという認識はかなり欠落しています。

選手、コーチに限らず「たくさん練習しなければ!」「他が休んでいる間に練習して差を!」と思っている人は多いかもしれません。

仕事の場合「単純労働」ならモチベーションさえあれば「たくさんこなす」ことができるかもしれませんが、「クリエイティブな仕事」の場合「休むこと」で新たな創造ができることもまた事実です。(クリエイティブな場合は休んでいたり遊んでいる間も潜在的に考えていますが)

話はそれましたが、仕事でバカンスをとるヨーロッパ人が良いというわけではなく、育成年代のサッカーにおいて『しっかり休む時間がない』というのは、選手の成長にとってプラスなのかマイナスなのか。

カレンダー(スケジュール)の問題

小学生でも年代によって年間のスケジュールがとてもわかりにくいのが日本の現状です。

JFA(日本サッカー協会)が「選手育成」の「ゲーム環境整備」を謳っており、その中に「カレンダーの整備」というものがありますが、年代によってかなりカオスです。
詳しくはこちら

「カレンダーの整備」とはあまり詳しくは書かれていませんが、要するに『年間を通じたリーグ戦文化の定着』、そのためには現在各カテゴリーで行われている様々な大会を整理することだと思います。

しかし、おそらく地域や年代の反発があるから『少しづつしか整備できない』のが現状ではないでしょうか?

そのため、ヨーロッパのようなプロもアマチュアも全ての年代の選手が同じカレンダーで動くことがなく、非常に複雑です。

例を挙げます。

福岡市の小学4年生の場合、各区でリーグ戦が行われます。
詳細はこちら
このリーグ戦は5月頃から12月までに終わらせるというものですが、グランド確保の問題や、他のカテゴリーの試合があると動けないというクラブ事情から、僕のチームは9月に初戦を行いました。
たったの10試合程度ですが、各チームの日程やグランド確保の問題から約5ヶ月ズレ込みました。
5月に初戦を迎える準備をしていたのですが、その間にプレーモデルを大きく変更しました(笑)

11月に区のリーグ戦が終了し、次は「チャンピオンシップ」という各区の上位チームが集まっての、5年生時の1〜3部の振り分けを行う決定戦が3月に行われます。
(やっぱりトーナメント好きですね)

ですので、冬の間はこちらで勝手に「プレシーズン」としています。
先日の練習試合もこのような位置付けです

そして3月の「チャンピオンシップ」を終えると4月にすぐに「前期リーグ」、夏を挟んで「新人戦」、が終われば「後期リーグ」に続いて行きます。

「いつ、どのタイミングが選手をしっかり休ませる時期なのか?」

トップダウンでやらないと解決しない『長期リーグ戦』

JFA(日本サッカー協会)が実施しようとしている「長期のリーグ戦文化」。
その意図は分かります。
ただ、現状「長期リーグ」の必要性を感じていない、もしくはできない環境があるのは事実です。

だからこそ、そこは「トップダウン」で整理してほしい所ですがなかなか進みません。

例えば、「育成年代のサッカーについての内容」などは各クラブが考えれば良いことですが、「公式戦の環境」などはクラブ独自でどうすることもできません。

前回「早く改善しなければならない!!! ジュニア年代のリーグ戦」という記事を書きましたが、協会がトップダウンでやってくれないとなかなか改善されない問題の一つが公式戦の試合環境です。

オフがない問題の第一はカレンダー

「休みがなぜ必要か」ということにはここでは触れませんが、その弊害はスケジュールにあります。
今までの大会のあり方を変えないと「長期のリーグ戦」は実施できませんからそこは協会の仕事です。

他の問題もそうですが、今までのように「地域に丸投げ」では、とてもじゃないですが改革は進みません。

「カレンダーの整備が何年くらいでできるのか」

今までのしがらみを排除してトップダウンでやれば1~2年でできそうですが、そこまではどうしてもやれないでしょうね。
日本にリーグ戦文化が根付くのは10年は必要です。

日本のサッカーはどれくらいの遅れているか?

ヨーロッパのサッカーは日々進化していますが、日本のサッカーも同じです。
「情報」的な部分では4~5年遅れていると思いますが、厳密に全体的に遅れているのは何年かと聞かれたら「30年」と答えると思います。

もしかしたらもっとかもしれません。

「情報の遅れ」は翻訳などの問題から時差ができるのは当然です。

しかし、サッカーを取り巻く「環境の遅れ」を考えるとどうでしょうか。

世界トップのヨーロッパでは「街クラブのグランドは全て人工芝」、「年間リーグが定着している」、「指導者ライセンスの内容が濃くて、しかし誰にでもオープン」、「テクノロジーが育成年代でも普及している」、「U-10年代でも対戦相手のビデオを撮って分析」。

このような現状が日本でも当然になるのに5年では進みません。

30年の差を25年で埋めても、その間に世界はさらに進化しています。

 

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

サッカーコーチが学べる情報サイト『ジュニアサッカー大学』を運営