先日、僕が担当するグループの選手が「足が痛むので今日の練習と今週末の試合を欠席したい」との申し出がありました。
確かに先日の練習中に足が痛いと言っていたので、「すぐに休んで早く回復するように」と話しました。
本人は「新しいチームになってレギュラー争いもあるからなるべく休みたくない」という気持ちだったかもしれませんが、僕らの考えは「すぐに休む」というものです。
本人の焦りは別の方法で取り除くとして、僕らの考えに「ケガを我慢しながら、もしくは隠しながらのプレー」に美徳はありません。
もしかしたら、プロレベルのW杯やチャンピオンズリーグレベルならそれは『プロ』なので美徳になるかもしれませんが、育成年代では必要ないことです。
高校サッカー強豪校でも….今だに….
先日、OBがクラブハウスに遊びに来てくれました。レアッシのジュニアユースの後に強豪校に進学しサッカーを続けていました。
そこで話を聞くと、「選手権の時には誰でも何らかのケガを抱えていた」ということ聞きました。そしてそれが「話を聞く限りでは」、「それはケガするよね!」という現実離れした環境でした。
そのOBの話によると…
あまりにもコンディションやケガのリスクを無視した日々の活動
聞いて見ると、基本的に毎週月曜日は休みとのこと。
僕らの時代と違って今では週に1回オフがあるのはいいことだな、と思って聞いてましたが、その後にびっくりする話が。
例えば土曜日に練習試合が入って、翌日の日曜日に試合が入らなければその日は2部練(午前・午後の2部にわたって練習すること)とのこと。
つまり土曜日に試合をした翌日が午前午後の2部練習……ありえません。
また、「練習試合は1日に何本こなすの?」という質問に対して「多いときで30分を5〜6本」。「朝から夕方までずっと試合です」。
30分を3本こなせば90分です。
これでも十分ですが、普通に考えればそれだけプレーすれば翌日は完全オフ、もしくは回復系のメニューです。
そして、多くのけが人をそのサッカー部は抱えているという。
そのような状態ではケガをするのは当然の帰結ですが、今だに『そのような厳しい環境で這い上がって来たやつが上へ行く』という神話がまかり通っている世界かもしれません。
(僕が『神話』というのは「すごく本当のことのようであるが、科学的根拠がないもの」という意味です)
そのような指導者に合わなければ開花した才能を潰していることに、責任をとる覚悟はあるのでしょうか。
それにしても、日本のスポーツ界には『今だに選手を怪我させる要素が蔓延している』のが現状ではないでしょうか。
やっぱり変わらない
その話を聞いた時に「あ〜、やっぱりな。俺らの時代と変わってないな」というように思いました。
それは、指導者を取り巻く環境がそうさせているかもしれません。
福岡でも体罰(傷害)の重大な問題が起きたにも関わらず、最近でも〇〇のチームの監督も暴力をふるっていますとか、どこどこのベンチに入っている監督が飲酒していたとか、コーチとしてベンチに入った保護者が飲酒していたとか。
僕が見たのは、とある地区のトレセンのコーチ(小学生)が自チームの選手を蹴ったり、レアッシ は今は参加していませんが南区長杯でも、体罰を行う非公式登録のチームを招待チームとして参加させたり、
『今だに…』ということが起きているのも事実です。
それらを日本サッカー協会(JFA)に報告しても「問題を解決するために真剣に動く気」はないのでは、と感じてしまいます。
一人一人の『常識的な意識』が大事
解決策としては、神話を繰り広げる人たちに、そこに投げかけても何も変わらないので、新しい指導者たちが新たな環境を作ることです。
新たな環境を作るのはとても勇気のいることですが…
気持ちはわかります。
高校サッカーで、これからそのチームを強化しようとすれば『他の強豪校がやっていることを真似する』のは常套手段かもしれませんし、『全く新しいことをやって試合に負ければ』「他のチームに劣ってると評価される怖さ」もあります。
高校サッカーに限らず、どの年代でもそうだと思います。
であるからこそ、その枠組みを外れる『強い気持ちが大事』です。
ただ、理想論ばかりを唱えていても「評価されなければ意味がない」と思いますので、実践あるのみです。
つまり『理想を掲げて結果を出す』ことでしか、現実は変わりません。
ただ、『新しいことは潰される(出る杭は打つ)』もしくは『理不尽な上限関係が根強い業界』ですから、新しいことをやるにはかなりのエネルギーが要ります。
それでも『変えたいと思う』か、『その世界で一定の時期が来たら自分の地位を作りたい』と思うか。
どちらを選ぶかはその人の哲学、もしくは品位かもしれません。