レアッシ ジュニアユースの取り組みや考え方を紹介する不定期コラムの第7弾です
今回はよく指導者の間でも議論される「個人かチームか」のどちらを大切とするか、という話についての考えを述べていこうと思います(過去記事はこちらから→➀・➁・➂・➃・➄・➅)
サッカーゲームのようにチームの数値を足し算で考える事はできない
テレビゲームでサッカーをやると各選手には様々な数値が設定されています
そしてその選手たちの能力を足してチームとしての数値も決められます
ゲームでは選手たちの能力は足し算であり、相性などで掛け算にはなりません
しかし現実には単純にチームの中で能力が高い選手を順に配置してもそれが確実にチーム力を高めるという事はありません
特徴が重なる選手が出るとチームとしてのパフォーマンスが下がったり、反対に能力が高くなくてもチームの潤滑油になれる選手が入ることによってチーム力が掛け算のように大きく飛躍する事もあります
トレセンのように数回の活動しかない場合とは違い、チームでは長い時間を掛けて活動していくので単純に目立つ能力を備えた選手だけでなく、一見目立たないチームを向上させられる特徴を持った選手も必要となります
つまり個人技術のトレーニングを行っているからチームが強くなる、という事は一概に正しいとは言えないのです
サッカーは互いに補い合えるスポーツである
「チームを強調しすぎると個性が育たない」
これはよく戦術が話題になる際にも出てくる意見です
確かに、戦術に選手を無理やり当てはめたり戦術の使い方を間違えると選手は成長しません
しかし戦術しかり、チームを成長させるという発想をうまく活かせれば選手個人を成長させる事は可能です
それはある選手の苦手な部分を他の選手の長所で補ったり、ある選手の得意な部分を別の選手の得意な部分でさらに際立たせる事もできるのです
だから仮に個人技術が成長しても、それを活かす術を知らなければサッカー選手として成長しているとはいえないかもしれません
チームのために・仲間を活かす(助ける)ために自分の良さを出せる選手
サッカーは集団スポーツです
その中における【良い選手】の定義の1つとして自分の持っている特徴を仲間やチームのために発揮できる選手という考え方もあると考えています
もしピッチに立っている11人全員が自分のやりたい事を好き勝手にやっていたらチームは成り立たない事はイメージしていただけるかと思います
チームという集団の中で「今なにをする事がチームのためになるのか」「仲間のミスを取り返すためにコレをやるぞ」という考え方ができ、自分の得意な事を発揮できる場面では大いにチャレンジができる、そんな選手は『賢い』と呼べるのではないでしょうか