W杯の熱戦が続き、寝不足の方も多いと思いますが先日SAMURAI BLUEの戦いもベスト16で幕を閉じました。
今回は日本代表とその他の国の戦いから感じた日本サッカー界にある”アンバランスな選手”について述べていきたいと思います。
得意・不得意というレベルではなく、明らかに「ある能力」が欠如した選手がいた
日本代表のメンバー選考では監督解任も合わさって様々な議論が雑誌でもテレビ番組でも行われました。
今回そこには言及しませんが、選ばれた選手はW杯で戦う為の基準とされたメンタル・技術・フィジカルを有した上で各自の強みを持っていると思います。
しかし明らかに【戦術面】で見劣りした選手がいました。
ボールの位置・ボールホルダーの状況・周囲の状況を踏まえた上での守備のポジショニングの修正やビルドアップで相手を引きつけるドリブルができないなど。
選手には得意・不得意があると思いますが、そういうレベルではなく、その他のフィジカルなどと比べて余りにも落差が激しいと感じました。
スペインではそういった事が起こりにくい理由とは?!
スペインでは幼少期からサッカーに関して『競争社会』に身を置きます。
小さい頃はクラブの中でAチームでプレーするのか・Bチームでプレーするのかという仲間との競争があり、小学生高学年になると他のクラブへの移籍も出てくるのでステップアップしてレベルの高いカテゴリーで戦う事が出来るかどうか。
その『競争社会』は選手だけでなく、指導者にも当てはまります。
優勝・昇格・残留などの目に見える結果を残せばクラブ内での担当カテゴリーが上がったり、他クラブからの引き抜きも起こります。
実際、私もバルセロナでの最後のシーズンにU11の4部で優勝した際にはクラブからU15のAチームを翌シーズンで率いないかオファーがありました。
つまりスペインでは指導者も選手も上のカテゴリーで戦えるのは選ばれた者だけなのです。
さらにそこで結果を残すために指導者は必死にサッカーを勉強し、少しでも良い結果を残せるように努力します。
さらに実力的に上の相手に対して対等以上に戦えるよう様々な《戦術的な》工夫を施すので、それを理解して実行できる【賢い】選手が試合に出るチャンスを掴むことができます。
つまり戦術的に秀でて結果を残せる指導者とそれに対応できる選手が上の年代・ディヴィジョンになればなるほど多くなるのです。
こういった競争システムの下でテクニック・フィジカル・メンタル・そして戦術のバランスが取れた選手が生まれるのだと思います(生まれる、というより生き残るという表現の方が正しいかもしれません)。
だからこそそういった要素の一つでも明らかに劣る選手は、それに見合ったディヴィジョンでプレーし、そこで必要とされるレベルの戦術を身に付けるのです(乱暴な言い方をすると、レベルの高くない選手にはレベルの高くない戦術指導が施される可能性が高い)。
今後の日本サッカーでやるべき事
これからの日本のサッカー界で必要とされるのは選手のレベルに合った戦術を身に付けさせる事・それを指導できる指導者の育成です。
ボール扱いについては本当に多くの指導者の方々の努力によって大きく飛躍したと思います。
しかしそういった部分での向上レベルと戦術の向上レベルに乖離が生まれているのが現実であり、そこの改善が必要不可欠でしょう。
それを実現させる為の一つとしてトレセンの改革が必要だと考えています。
そこについてはまた次回に述べていきます。