レアッシのみなさんこんにちは。
ディレクターのカズです。
今回はいつも当クラブをサポートして頂いている保護者の方へのお願いです。
レアッシでは「良いサッカー選手の育成」を目標に日々活動を行っていますが、その中でもキーワードになる『選手の自立を促す』ということについて考えてみたいと思います。
その前に、クラブがお願いしている「試合時における保護者の方々のスタンス」をまずはご理解して頂ければ幸いです。理由については後述します。
①『試合時には選手との接触をさける』
試合の日は「チーム」として活動しているので、なるべく選手と距離をとってほしいと思います。
チームの中で自分のことは自分でや行い、なおかつ「チームの仕事を分担する」というチームの一員としての振る舞いといった事を短い時間ですが保護者の方の力を借りずに『自分の力』で解決できるようになってほしいと思います。当然、年齢によってどのような課題を与えるかをコーチ達は考えています。
②『サイドコーチングをしない』
当クラブの保護者の方々は理解してくださっているので問題ないかもしれませんが、時々見かける「保護者サイドからのコーチング」。
僕も親なので気持ちはわかります。
保護者の方のサイドコーチングをやめてほしい理由としてよくあるのが「選手が自分で考えることがサッカーでは重要で、大人の指示に従って動くのは成長の妨げになる」というのがありますが、僕個人としてはそうではなく、コーチの考えと大きなズレが生じる可能性が高く、選手が迷ってしまう、もしくはプレッシャーを感じてしまう、というふうに考えています。
例えば、選手を指導する中で「この選手のレベルを考えると、こういうミスは指摘しない」「この選手は現状このような状態だからこういうことを要求をする」というのは、実はとても重要な要素で、コーチ達は選手やチームのレベルや置かれている状況でコーチングを変えます。
ですので、自分の子供に対して「もっとこうすればいいのに」と保護者の方が思う内容とコーチが考える内容が違うことがよくあります。
また、自分の子供だとどうしても厳しく言ってしまう気持ちは理解できますが、『個人競技』ではなく『チームスポーツ』なので、少し抑えて頂けたらちょうどいいかなと思います。
「他のこどもには厳しくて自分のこどもには甘い」という方はいないと思いますが、『チーム全体を応援する』というスタンスで接していただければと思います。
③『審判や相手チームへクレームをつけない』
相手チームへのクレームをつけないというのは「成長段階の選手達である」というのと、本当に問題があるときは「クラブ自体」が対応するというように考えてもらえればいいかと思います。
審判へのクレームについては、正直難しいところですが、現段階では控えてくださいというところでしょうか。なぜかというと、日本ではあまりにも審判が守られすぎていてレベルが向上しないという側面もあるからです。
スペインだと小学生年代の審判でもプロと同様にブーイングを浴びますし、プレッシャーを受け相当つらいと思います。ただ、スペインでの審判は協会から派遣された方であるため、お金をもらっています。例えば中学生年代の一番下のカテゴリーだと11人制の試合に対して一人審判で1試合58ユーロ(2015年当時、バルセロナ)程度もらえます。日本のように指導者が審判をすることはありません。現在の日本の審判不足を考えると、審判を守る必要もあるかと思います。
こうやって見ていくと「やったらいけないこと」ばかりで窮屈かもしれませんが「選手を励ます応援」は大歓迎です。やはりいいプレーをしたときには拍手や声援が必要ですし、負けているときには大声援が必要です。もちろん公式戦や試合ではいろいろありますが、問題があればクラブが対応しますので保護者の方々には選手へ暖かい応援を送って頂ければと思います。
最近では、サッカーだけでなく学校などでも子どもを取り巻く環境はどんどん変化していき、様々な問題があるようです。
ほとんどないケースかもしれませんが、全国的には僕らが予想しないような様々な問題があります。SNSを使ってある特定のチームや選手を批判したり、コーチが選手のプレーが良くないと殴ったり、保護者の過干渉や過保護が逞しい選手の育成を阻害したり、といったケースもあるようです。話題になるのは特殊なケースかもしれませんが、危険な可能性をはらんでいるのであれば無視できません。『主役である選手たち』のためにもコーチや保護者の方のスタンスが一番重要だと思います。私たちコーチ陣も襟を正していきたいと思います。
では、上述した内容と関係の深いテーマとして、クラブが考える『選手の自立を促す』というものがあります。サッカー選手として高いレベルに行けるか、またはサッカーを辞めた後でもその経験を生かせるかということを考えた時に「サッカーそのもののレベル」と同じくらい重要な要素に「良い人間性や自立した選手」というものが挙げられます。
練習や試合の指導現場で選手達と接していると、私たちの職業柄か「選手たちが成長するきっかけ」がたくさん転がっているのに気づきます。
それは年齢によって様々なのですが、まだ大人ではなく育成年代にあたる選手達は様々な問題に直面します。
サッカー面だけでなく、人間性の面でも選手達は『今から成長していく』発達途中の人間なのです。当然、子供を成長させるということは、社会=大人の世界で生活して行けるようにしていくことも重要な要素なので、いかに「こども」を「大人」にしていくかということが問題になります。
そうした時に「こどもを成長させるきっかけ」になるものがサッカーの現場にもたくさんあります。例えば…
マイナスなイメージとしての出来事では、友だちとの喧嘩、試合に出れない時や負けた時、練習でうまく行かない時、忘れ物をした時、バスの中で騒ぎすぎてコーチに叱られた時、遠征先でルールをやぶった時…
ポジティブなケースでは、試合に大差で勝った時、トレセンに受かった時、大会で優勝した時、など…
スポーツをやっていると様々な出来事が起こります。これらのすべては選手が『今より一歩成長する種』だと私たちは考えています。
ただ、この「種」を大輪の花に育て上げられるかには私たちの感情を抜きにした接し方が重要になってきます。
うまく行かない選手には励ましの声を、うまくいった時には厳しく、問題に直面したら考えさえ、悪いことをしたら反省させる。全てにおいて選手に好かれることだけを考えるのではなく、時には憎まれ役も買って出て、「小さなきっかけ」に水をまかなくてはなりません。
もちろん家庭での考え方もあり大切ですが、家を一歩外に出たら「社会に適合」しなくてはなりません。「社会に適合=自立していく」と考えた時に、サッカーに限らずチームスポーツでは「小さな社会」の中で自分を適合させその中で自分の良さを発揮していくことが重要になってきます。
また、こどもに「たくましい人間になってほしい」とは誰でも望むところだと思います。サッカーというスポーツをする意義は、たとえサッカー選手になれなくてもその経験を生かしてほしいと思う方は多いのではないでしょうか。
クラブとしてはそのような考えのもと、コーチ達は育成年代の指導のプロフェッショナルとして選手をサポートしていきたいと考えています。
今後もこのような問題も含めていろいろ書いていきたいと思います。
「クラブの考えに共感してくださる方々」が選手・クラブとともに素晴らしい「サッカーライフ」を楽しんで頂ければクラブの存在意義も価値あるもになるのではないか、と考えています。