時々、選手の保護者の方から『うちの子どんな練習をすれば良いですか?』という質問を受けるので、それに答える形で回答したいと思います。
子どもたちは運動・サッカーのレベルに応じて重点的に取り組む内容が異なります。特に小学2、3年生といった低学年の場合はレベルの差が極端に開いていることがあるので、レベルの違う選手に対して同じようなトレーニングや指導を行えば、選手の成長は難しくなります。
3つのパターン
①あまり運動経験がなく、これからサッカーを始めるケース
②運動能力はあるがサッカーの専門的技術を持ち合わせていないケース
③サッカーの技術をその年代で平均もしくはそれ以上すでに持っているケース
小学生の低学年の場合、大きくこの3つに分類でき、それぞれの特徴で優先的にやるべきトレーニングが異なります。
ほとんどサッカー経験がない選手が多数割合を占める中で、③のようなすでにテクニックを持っている選手を同じトレーニングに入れたり、その反対に、すでにテクニックを持ち合わせている選手の中に一人だけまだ運動経験が少ない選手を混ぜてトレーニングをすることは、大きなトレーニング効果が期待できません。
レアッシでも「選手が現在できること」によってグループ分けを行い、それぞれのグループに適した練習を行うようにしています。
クラス分けすることは、『選手一人一人に適した練習を提供する』ことに繋がります。
現在サッカーをやっている、もしくはこれからサッカーを始めたいと思っている方に参考になればと思います。
レベル毎に異なる取り組むべき課題
①「あまり運動経験がない選手」
この場合はサッカーの専門的な技術や戦術よりも『あらゆるスポーツに共通する能力の開発』が重要です。
身体を思うように動かすこと、運動する機会を増やすこと、まだサッカーのスキルは低かったり、ボールを扱うことに慣れていないので「ボールを使って様々な運動動作を行う機会=時間』を増やすことに重点がおかれます。
レアッシでいうと夕方に行なっている「スクールコース」が主な対象になります。
②運動は得意だがサッカーをしたことがない
そもそも運動が好き・得意なのでまずは『テクニック』系を重点的に行うことで、基本的なボールを扱う技術を習得する必要があります。
段階でいうと2番目の段階で、「ボールを扱う技術を伸ばすための前段階ができている」状態です。
基本的なテクニックを伸ばすには『反復練習』が効果的です。「身体が覚えるまで繰り返す」こと。
専門的にいうと「技術的なボールの負荷」と表現できます。
サッカーをプレーする時には、選手のプレーを悪くする「様々な負荷」がかかります。
一人でグランドに立って誰もいないゴールにシュートを決めることは容易ですが、そこに敵がいることでゴールすることへの「負荷」がかかり、容易にシュートすることができません。
ボールを思うように扱えなければそれは「ボールを扱う負荷」になるので、選手のパフォーマンスは下がります。
敵がいるとか、戦術を考えるからという以前に「そもそもボールを扱うことが難しい」という問題です。
その場合はある程度、ボールを自由に扱えるようにする必要があります。そのためにはボールを蹴る、止める、運ぶ、などの基礎技術の習得が重要になります。
レアッシの場合、低学年の育成コース、中・高学年でも「もう少し技術を伸ばさなければならない」グループになります。
③すでにテクニックを持っている
小学生の低学年でもすでにボールを扱うことに長けている選手がいます。
おそらくそれまでの運動経験や、そもそも持っている感覚があるのかもしれませんが、このような選手に対して『適切な指導』があまり行われていないという印象があります。
このレベルにある選手はすでに「ボールを扱うこと」は負荷になっていませんから早く次のステップを踏む必要があります。
つまり頭を使った『戦術的なトレーニング』。
おそらく、このような選手はテクニック重視のトレーニングをあまり重点的に行わず、戦術的なトレーニングを行った方がテクニックが伸びます。
テクニックトレーニングを行っていないのにテクニックが伸びる、という一見不思議に思うかもしれませんが、実際そうなります。
テクニックが伸びるだけでなく、更に「戦術的な要素」も伸びますので、質の高いトレーニングを行う必要があります。
大きく3つのパターンで考えてみましたが要約すると、
・すでにテクニックを持っている選手は早く戦術トレーニングを行う
・運動が得意だけどサッカーをやったことがない選手はまずは基礎テクニックを習得
・まだ運動があまり得意ではない選手は運動する機会を増やす
というようにまとめました。
重要なのは『段階に応じたトレーニング』
クラブとしては、一人一人違う個性やそれぞれのレベルで、それぞれの選手が伸びる環境を提供して行きたいと思います。