監督とコーチの違い 〜監督の仕事は勝利すること(他にもある)〜

僕らの仕事を表現する言葉として、「サッカーコーチ」や「指導者」などが挙げられます。
同じような言葉ですが、「サッカー監督とサッカーコーチ」という言葉ではなんとなく違いがあるように感じます。
ほとんど明確に区別して使われていませんが、これから「サッカーコーチを職業としたい」という方向けに、僕なりの定義を考えてみたいと思います。

サッカーの「監督」とは

「監督」とはそのグループの1番の責任者です。わかりやすく言えば、U-12ならそのグループ(チーム)のあらゆる結果に対して「全責任を負う」という立場です。「全責任」とは何かというと「クラブが求める結果」に対しての責任です。

話しを分かり易くするために、僕が担当しているU-10・1stチームを例に挙げます。

今年のU-10・1stのメンバーの能力、その他のことも含めて「クラブが監督に提示するミッション」がいくつかあります。
福岡支部では4年生時の区のリーグ戦が5年生時のリーグ戦の振り分けにつながるため、それに対しての「ノルマと目標」があります。(詳細はこちら

毎年ノルマや目標は変わりますが、今年の区内リーグのノルマと目標は「南区優勝」でした。
チャンピオンシップに関しては「目標は福岡支部上位でノルマは1部に入ること」です。
区内リーグではノルマと目標が同じなので「絶対に優勝」しなければなりません。

そしてもう一つのノルマは「質の高いサッカーをする」こと。

このように担当を持つ「監督」には「最低限達成しなければならないノルマ」と「できれば達成したい目標」があります。

クラブが求める「ノルマと目標」。それに対して全責任を負うのが「監督」の勤めです。

サッカーの「監督」はクビになる

育成年代でも「結果が出なければクビになるスペインの指導現場」。
日本ではそのような仕組みは難しいかもしれませんが、それが「指導者のレベルアップ」にはとても役立っています。
「負けても勝っても同じポストで仕事ができる」のではなく、「クラブが提示するミッションが成功できなければ立場が変わる」というのは「指導者が気を抜けない」、というとても良いシステムだと思います。

また、ミッションには「単なる勝ち負け」以上のものもあります。
「サッカーの質=良いサッカーをさせているか」もチームによっては必要なことです。

後述、もしくは後日書きますが「質の高いサッカーをしながら勝利する」というのが一番難しい課題です。

サッカーのコーチとは

「監督とコーチ」、明確な区別はありませんが日本の育成年代の指導者をみると区別する必要があるように感じます。
前述した「監督」は「そのチームに対してサッカーの質や勝利に対する責任」があると定義すると「サッカーコーチ」は別のものになります。

どちらかというと「監督の指揮の元、練習を滞りなく行う」ことになるのではないでしょうか。
もちろん、第二監督(助言を行う)立場もありますが、日本でいう「サッカーコーチ」というニュアンスは「勝利やミッションに対する責任を追う立場」ではなく、「勝利という結果ではなく、一般的なサッカーを教える人」のような感じです。

日本では「サッカーのコーチ」が多く、「サッカーの監督」は少ないのかもしれません。

「監督」がチームの現在の状況を考えて「練習メニュー」を考えたり試合で指揮をとるのに対して、「コーチ」は「監督に指示されたある練習メニューを滞りなく進行する」役割で、アシスタントコーチと表現しても良いかもしれません。

監督とコーチの混同

育成の現場を見ていると「監督とコーチの役割が混同」しているように思えます。
よくある例として「強いチームの若いコーチ」。
そのチームが強いのは「監督」の力であって、コーチの力ではない。コーチの能力が高いから勝っているのではなく、監督が強いチームを作ったから「質の高い選手が集まっている」ので「チームが強い」。

後日書きたいと思いますが、「日本のコーチの力量がわかりにくい」ということにつながると思います。

当然ですが、サッカーコーチの方が簡単で「監督」の方が敷居が高くなります。
仕事の質と求められることから責任の範囲が広くなります。

自分がしている仕事は「監督なのかコーチなのか」。

繰り返しますが「監督の仕事」はクラブの要求を実現すること。
「コーチの仕事」は「監督の指示のもとに行うもの」。

「試合には負けるがきちんと育成している」ということは嘘

これもまた後日詳しく書きたいと思いますが、「勝敗よりも選手の将来を見据えて育成している」というのは嘘です。
この裏には「勝利することは簡単だが、それでは意味がないので、しっかりと育成している」という意味が含まれています。
であれば「簡単に勝利」してから「育成」することも可能なはずです。

「勝利する」ことは簡単ではありません。

「勝つことと質の高いサッカーを両立すること」は簡単ではありませんが、最初に『監督』が行うべきことは勝利できる試合は「勝利すること」です。

育成年代では「勝ち負けよりも育てること」という言葉が使われますが、「勝敗にもこだわりながら育成する」ことは矛盾する言葉ではありません。

 

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル1
□選手歴 筑陽学園サッカー部卒
□指導歴
2007-現在 レアッシ福岡FCジュニア,ジュニアユーススタッフ
2009-12 FCバルセロナ オフィシャルスクール福岡校コーチ
2015-2016 スペインバルセロナ在住
2015-16 UE CORNELLA Juvenil B 研修(バルセロナ)

サッカーコーチが学べる情報サイト『ジュニアサッカー大学』を運営