4/10 U15トップチームのミーティングについて

4/10(水)の練習時にU15トップチーム(厳密にいえば4/6の試合に招集されたメンバー)は練習の冒頭40分ほどを使ってミーティングを行いました
それは4/6にあった県リーグから次の公式戦(4/30のクラブユース支部予選)まで時間が空くので今週のトレーニングは選手のメンタルを一度リフレッシュする時間にすると決めていたので普段なかなか取れないミーティングの時間を確保できると考えたからです

もちろん練習を普段通り行えば選手やチームが成長する可能性はあります
しかし2月からほぼ毎週のように緊張感のある戦いに向けてトレーニングを続けてきた選手たちが3週間後という遠い目標に向けてこれまでと同等かそれ以上のモチベーションでプレーできるのか私には疑問でした

それならば、この1週間をミニゲームなどでリフレッシュして来週からのトレーニングへ【サッカーがやりたい】という高いモチベーションで来てもらった方が効果があるという判断からそういう決断に至りました

また、リーグも1巡目が終わった(延期になった1試合を除く)一つの区切りがついた状況で選手たちといくつかの事を確認したり意見交換をする事が今後に重要になるのではないかと考えたのです

ミーティングのスタートは選手たちによる自己分析

最初に私から「ここまで大体リーグの半分が終わったけど率直な意見を聞かせて」と選手たちへ声を掛けました
すると連続して8人くらいが意見を述べてくれ、内容自体は『その通りだな』と私も思う事ばかりではあったのですが自分たちが足りないという主旨の意見でした(直近の県リーグで負けたのがネガティブな意見を引き出した可能性は大いにあるのですが)

そこまで聞いて私は『彼らは本当に自己分析できているのだろうか』と思っていたのですが、そこでポジティブな意見が2つほど続きました
ここで『しっかり自己分析できているな』と感じたのです

効果的な分析に必要な要素とは

的確な分析を行うために必要な要素の一つに慢心であったり極端に卑下したりすることなく客観的にチームや選手を評価することが挙げられると私は考えています

そこを私たち指導者が見誤ると相手が明らかに自分たちより格上なのに理想論ばかりを追い求めて全く試合に勝てなくなったり、反対に自分たちを下に見過ぎて相手に合わせすぎてサッカーの質が低下したりしてしまうのです

また選手たちがその点を見誤ると必要以上に相手を恐れて自分たちの良さが出せなかったり、その状況に適したプレーを選択できなくなったりしてしまいます

2月からトップチームが取り組んでいる事

選手の成長のために【自己分析がしっかりできる事】が大切なのではないかと感じた私は2月から選手たちにトレーニング前に今日の練習で意識する事を報告するように義務付けました(SNSを通じて、またはノートに記入して提出)
それはただ練習へ来てコーチから要求された事を一生懸命に実行するだけの選手やチームでは勝てないし、ピッチの中で主体的に行動を起こせる選手を育成したいという思いからでした

しかしそれを始めた当初は「自分は○○ができないので、そこを改善する為に■■を意識して練習をします」という自分の短所を改善する事についての内容ばかりでした
そこで選手たちには「足りない部分を改善する為にやること・自分の得意な部分を伸ばす為にやること、それぞれ1つずつ出すように。もし長所や短所が自分でわからない、とかあれば聞きにきて」と伝えました

それは先に述べた冷静な分析を行う為に必要な【極端に卑下しない】という部分に繋がるのでは、という狙いと短所の修正ばかりをしていては個性が埋没して似たようなプレーをする選手ばかりになってしまうと感じたからでした

それを2か月続けてきて今回のミーティングで極端に自分たちを卑下するようなネガティブな意見ばかりが出なかったことに彼らの成長を感じたのです

良いチームは各選手が自分の行動や仲間への責任を持っている

そのミーティングでもう一つ選手とチームの成長を感じたのが、これまで先発の機会や出場時間が決して多くない選手たちが自発的に意見を述べてくれた事でした

ここで一度私のサッカー経験について話をさせてもらいます
大学卒業まで部活に所属してサッカーをしてきましたが、大学4年生時にサッカー人生で初めて自分の代でレギュラーとして試合に出られない日々を過ごしました

本当に苦しくて部活を辞めようかと悩む日々がずっと続いたある日、トップチームの主力たちが選手だけでミーティングをする事になりました
私は試合に絡むことなくメンバー外の日々が続いていたのでミーティングに参加するつもりはありませんでした

しかし主力の1人から「お前はサッカー詳しいし、考えてプレーしてるから意見を聞かせてほしいんだ。だからミーティングに参加してくれ」と電話をもらいました

「オレの意見なんか必要ないし意味ないだろ」という思いがあったのですが、はっきりと断る事もできずミーティングへ参加する事にしました

しかしミーティングが始まっても自分から意見を述べる事はできずに黙っていると、電話をくれた仲間が「お前はどう思う?」と意見を聞いてくれました

そこでみんなの意見を聞いて感じた事や試合を外から見て思ったことを言うと「確かにそういう部分はあるかもな」「黒沼がそう感じてるんだから一回やってみようぜ」と他の仲間も賛同してくれ、その時に本当の意味でチームに責任を持つという事がプレー以外でもあるんだと初めて実感する事ができたのでした

そういう経験があるからこそ、試合の出場時間や先発の機会が少ない選手が苦しい思いや悔しい気持ちを感じながらもチームが成長する為にできる事を精一杯実行してくれている事が伝わってきたのです
私の考えでは良いチームには自分の事と同等かそれ以上にチームへ良い影響を与えられる言動を実行できる選手が多くいますし、サッカーというチームスポーツはそういった人間性を自然と身につけられるものです

強いチームになるために

次に選手たちへ話をしたのが『より強いチームになるために』という主旨の内容でした
結果の面だけで考えるならば負けが妥当な試合を引き分けに持ち込んだり、引き分けそうな試合をギリギリで勝ちに変えられるチームだと私は思うと伝えました

そういった話になると良く出るのが「あのクラブは伝統があるしね」「やっぱり歴史の差が出たね」といった言葉です

でも本当にそうなのでしょうか
もしそれが本当ならレアッシはまだ10年の歴史しかありませんし県リーグも2部に昇格したのが今年が初めてで、どの規模の大会でも九州大会へ進出したことはありません

ではそれ以上の歴史があるクラブや九州大会に進出した事があるクラブにはずっと勝てないのでしょうか
もしそうなら勝てないとわかっている相手と試合をする意味はありませんし、戦う前から勝利を諦めるなんて悲しすぎます

もちろんそういった相手に勝つ事は簡単ではありません
でも不可能ではないと思うのです

しかしまだ何をやればそれを達成できるのかという答えは出ていません
だからこそ様々な事にチャレンジしなくてはいけないのです

練習の質をもっと上げられるのではないか
試合をもっと優位に進めるための選手起用や戦術の見直し
指導のレベルを上げるための指導者自身の自己研鑽

選手たちへ要求するからこそ、私自身の努力は言うまでもありません
しかし実際にプレーするのは選手たちだからこそ全てを私だけで改善できるというのは傲慢な考えですし、彼らが主役だという事を忘れてはいけないと感じたので選手たちへ1つ提案をしました

レベルアップするために選手たちへ提案した事

それは『リーグ開幕当初に決めた目標を上方修正しないか』というものでした
クラブとしてはもちろん私自身も初めての2部リーグでの戦いで開幕前に高い目標を掲げて現実味がない状態でプレーする事は成長に繋がらないと感じ、最低限のノルマについて選手たちと話をしていました

しかし彼らがもっと強いチーム・良い選手になるために何が必要かと考えた時に現状を踏まえた上で手が届くかもしれないけど、簡単ではない目標を設定する事があるのではないかと感じたのです

だからこそミーティングを行い、実際にプレーしている選手たちがここまでの戦いでどういった事を感じているのかを最初に確認したのでした
自信をつけているのか・反対に自信を失っているのか、それに応じてミーティングの進め方も変えようと考えていたのですが彼らの言動から目標の上方修正が適切だと判断しました

このやり方が絶対に成功するという確証はありません
でも何もしなくては変わらないという事だけは確信しているので挑戦してみます

そしてサッカー面では選手たちがサッカーをより理解して自発的にプレーを変えられるようになるためにチャレンジしています
相手のシステムや攻撃の仕方・プレッシングのやり方を試合中にピッチ内で分析して戦い方をそれに応じて変化させる
もしくは外から私が分析し決断した変化に個人としてもチームとしてもすぐさま対応できるようになるために

そのために質問したり、意見をぶつけ合ったりと様々なやり方で選手とサッカーについて考えています
その過程では様々な壁や衝突なども出てくると思います
しかし罰や暴力を伴う恐怖で選手を抑圧する旧態依然とした方法ではなく、選手と共に様々な紆余曲折を経てチームを作り上げていくレアッシでしかできない方法でサッカーを学び、個人としてはもちろんチームとしても成長してもらいたいのです

最後には「レアッシに入ってサッカーやってきて良かった」と選手たちに思ってもらえるように精一杯努力していきます
サポーターの皆さんには様々に心が揺れ動く選手たちへの色々な形でのサポートをこれからもよろしくお願いします!

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この記事を書いた人

□スペインサッカー指導者ライセンス レベル2
□指導歴
2007-2012 清水エスパルス普及部
2009-2012 エスパルスSS駿東JY U-13監督
2012-2013 U.E.SANT ANDREU Infanitil A (U14)アシスタントコーチ
2013-2014 U.E.SANT ANDREU Cadete B (U15)アシスタントコーチ
2014-2015 C.D.ALMEDA Alevin A (U12) 監督
2015-2016 U.E.Sant Joan Despi Alevin D (U12) 監督
      U.E.Sant Joan Despi Infanitil E (U14) 監督
2016-現在 レアッシ福岡FC